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再生3秒以内に7割が離脱か。大手SNSのアウトストリーム動画広告の視聴傾向

国内においてYouTubeのインストリーム動画広告が動画広告市場全体で大きなシェアを持っていますが、FacebookやTwitterのアウトストリーム動画広告「インフィード動画広告」も大きく伸びています。最近、それら有名SNSのアウトストリーム動画広告の事例が公開されていましたので、事例を元にSNSのアウトストリーム動画広告の視聴傾向を調べてみました。

■事例1)FB,Twitterのインフィード動画広告(某菓子メーカー)
スマホ時代の動画マーケティングのポイントとは?Twitterなど3社が徹底解説【セミナーレポート】
<参照元>【SMMLab】

某菓子メーカーで、同じクリエイティブの動画広告をFacebook,Twitterで配信したそうです。結果は、再生完了率は
Facebookが1.4%で、Twitterが1.7%と、どちらも1%台。再生完了単価としては、Facebookが47.3円で、Twitterが23.6円ということです。
(ちなみに、この動画広告の全体尺が何秒だったかはこの記事には記載されていないので不明です。)

注目したい点は、再生3秒時点での再生数が、動画再生開始数に対してFacebookが26.0%で、Twitterが8.1%という点です。つまり、この事例では再生開始3秒以内に、Facebookでは74.0%が、Twitterでは91.9%の人が離脱をしたことになります。

 

■事例2)Facebookの縦型インフィード動画広告(ネイルアートスクール)
【Web Designing 2017年2月号】「Web動画マーケティングの[最新]勝ちパターン」
<参照元>雑誌「Web Designing 2017年2月号」

この特集の記事によると、ネイルアートの学校の10秒の縦型動画広告を、Facebookのインフィード動画広告で、女性/ネイル関係に興味ある人指定でターゲティング配信したそうです。

結果は、再生開始(Facebookのレポートではインプレッションとしてカウントされる)33,757回、再生3秒時点での視聴数が5,270回、再生完了率が1677回となったそうです。

この事例では再生3秒時点での再生数が、動画再生開始数に対して15.6%で、再生開始3秒以内に84.4%が離脱をした計算になります。また、再生完了数は5%です。

 

■事例3)Snapchat 縦動画広告(海外某ブランド)

再生開始から3秒で、7割がスキップ? 「動画広告」の課題を浮き彫りにした、Snapchatの事例<参照元>【DIGIDAY】

日本でSnapchatの動画広告の事例は見つかりませんでしたが、海外での事例はありました。
あるブランドの異なる4つの縦動画広告の視聴レポートがありますが、再生3秒以内に70%前後のユーザーが離脱をしています。

 

■SNSのアウトストリーム動画広告は、3秒以内に7割から9割の視聴者が離脱?

上記の事例から、大手SNSのアウトストリーム動画広告は再生3秒以内に7割から9割の視聴者が動画広告の再生中に離脱をしているということが分かります。一方、SNSではなく、オープンなWEBサイトの記事内や記事下などで配信するアウトストリーム動画広告では、再生3秒以内の離脱率は2〜3割程度になることが多く(弊社計測)、それと比べるとかなり離脱率が高い印象です。

 

■なぜ、SNSのアウトストリーム動画広告の離脱率が高いか?

なぜ、SNSのアウトストリーム動画広告の離脱率が、WEBサイトの記事内や記事下などで配信するアウトストリーム動画広告と比べて離脱率が高いかについてですが、前者の方が、ユーザーにとってスキップしやすい、ユーザーフレンドリーなフォーマットであるからだと推測できます。

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Facebook,Twitterの動画広告は、画面内に動画プレイヤーが100%表示された時点で、自動再生が開始されます。その時点で、上にあるコンテンツフィード自体は見切れていることがほとんどです。つまり、ユーザーはコンテンツフィードをほぼ読み終えたかスキップした後で、動画広告が再生されていると推測されます。そして、ユーザーは、動画広告に興味がなければ、すぐにスクロールして無視することが可能です。Facebook、Snapchatの縦動画広告に関しては、ほぼ全面が動画広告になるため、これも広告を見たくないユーザーはすぐにスクロールして、コンテンツの続きを見ることことが可能です。

一方、WEBサイトの記事内や記事下は、動画広告の上に記事本文が300文字など表示され、ユーザーがまだその本文を読んでいる最中にも関わらず、画面下で動画再生が始まってしまいます。
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【参考記事「マーケッターは、動画広告の「見かけの視聴完了率」に惑わされるな。」】そのため、動画広告は見たくないユーザーでも記事本文を読み終わるまでは、スクロールして動画広告を非表示にすることがしずらくなります。そのため再生3秒での離脱率が低くなるのかと推測されます。

世界的なSNSは、ユーザビリティが悪化すれば多くの人から批判され、一気にユーザーが離れていくリスクがあります。そのため、広告の配信方法についてもユーザビリティを悪化させないよう、たとえ、コンテンツとコンテンツ間に広告を配信する場合でも、簡単にスキップができるように配慮されていると感心します。

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